2012-10-21

帽子収集狂事件 [ジョン・ディクスン・カー著]


ロンドンで帽子を盗まれる事件が多発。犯人には「不思議の国のアリス」のいかれ帽子屋の名がつけられるが手がかりがないうちに、古書収集家の帽子も盗まれる。

さらにその古書収集家が入手していたポオの未発表原稿が盗まれ、その上甥の新聞記者までもがロンドン塔で盗まれた帽子を被った遺体となって発見される。ロンドン警視庁の友人から原稿盗難事件の捜査を依頼されたフェル博士が、いきがかり上、殺人事件、さらに帽子盗難事件も解いていく。

ポオの未発表原稿、というのは何かとミステリの題材として登場することが多い。

古書収集家を取り巻く人間関係からフェル博士は真相に辿りつくのだけれど、20世紀初頭のロンドンの風俗が描かれているのが面白い。それから半世紀、戦争を経て人間の生活はすっかり変わってしまった。この時代だから描けるトリックというのもあると思う。