2012-03-14

ドラゴン・タトゥーの女 [デヴィッド・フィンチャー監督]


デヴィッド・フィンチャー、やったねー。小説の映画化ではなく、映画「ドラゴン・タトゥーの女」が出来上がっている。

ベストセラー小説「ドラゴン・タトゥーの女」の映画化。原作は濃密なミステリーでありながら社会に向けたメッセージも織り込まれている秀作。原作の読者にはかなりはっきりしたイメージが作り上げられているから、映画化をどう評価するだろうか。一人の原作ファンとして、これは原作のアウトラインを持った上質のミステリー映画「ドラゴン・タトゥーの女」だ、と思った。

結末が原作と異なっているのだけれど、この結末もアリ、だと思う。むしろ映画を観てから原作を読むと、原作の結末の方がひねりすぎて終盤が長引いてしまった、という印象を受けるかもしれない。

この映画にもクリストファー・プラマーが登場。若き日のクリストファー・プラマーを「眺めのよい部屋」のジュリアン・サンズが演じている。いい配役だと思う。

「移民の歌」がバックに流れるオープニングのアニメーション(?)。よく観ていると、ミレニアム・シリーズの第2作、第3作のエピソードをなぞっているかのような動きだ。すると、今後、「火と戯れる女」「眠れる女と凶卓の騎士」も続々映画化、ということか。

ただ、登場人物たちの背景がかなり抜け落ちているので、原作を読まずに映画を観ると、途中で???という部分がかなりあると思う。

スウェーデン人(イギリス人、アメリカ人、なんにせよ)も、人の気持ちを損ねてはいけない、という本能が働くのか。このことは原作にももちろん書かれていたけれど、この映画を観て、ちょっとでもあれ?と思ったら立ち止まってよく考えること、というのを習慣づけることにした。