2012-02-25

英国王のスピーチ [トム・フーパー監督]


エリザベス女王の父、ジョージ6世が吃音を克服し、第二次大戦中、そのスピーチで国民を勇気づけ鼓舞し続け、国父として尊敬を集めるまでになった話。

話は皇太子時代から始まる。父である国王ジョージ5世に代わってスピーチをする機会が増してきたが、吃音のために話すことができない。奥方がハーレー街の片隅のビルの地下にオフィスを構えるオーストラリア人の吃音矯正師に、夫の吃音矯正を依頼する。

ヘレナ・ボナム・カーターが奥方を演じているのだけれど、彼女が素晴らしい女優であることをあらためて、というか初めて知らしめたと思う。最近の彼女はヘンな役が多い。でもこの映画で演じている役は、後の皇太后にふさわしい女性を表現している。実力と人間性が備わっていなければできないと思う。しかも、ちょっとユーモアも感じさせる。理想の嫁であり母ですね。

2012年2月のウィリアム王子の結婚式で、バッキンガム宮殿のバルコニーから一族が揃って手を振っている姿を、BBCのアナウンサーが、この結婚は一家族のお祝いなのです、というようなことを言っていた。映画のラストで、ジョージ6世が奥方と娘たちと一緒にバルコニーに出て群衆に手を振る。家族の絆、を感じた。夫であり父である国王が試練を克服するのを家族が支えた。そして、一般人であるオーストラリア人の友情がその原動力となった。

人と人のつながりは、その地位によるのではなく心と心による時、もっとも強くなる。そして強いつながりは人に人間的な深みを与えると思う。

2010年製作。2011年アカデミー賞作品賞受賞。