2012-04-20

治療島 [セバスチャン・フィツェック著]

ドイツのスリラー推理小説。

原因不明の病気にかかった娘を病院に連れて行った精神科医は、そこで娘を見失ってしまう。そして4年の歳月が流れ、なぜか精神病院に"入院"している精神科医は主治医に、娘の失踪から2年後にある島で遭遇した不思議な体験について語る。それは、娘の失踪について何かを知っているらしい美しい女性にまつわる不可解な出来事の連続だった。この女性は娘の失踪の真相を知っているのか。

統合失調症の女性の言動と、娘の失踪で精神的ダメージを受けている主人公の精神科医の妄想が入り乱れて、読んでいて非常に不安な気持ちになってくる。サスペンスフル。ホラー小説ではないのだけれど、読んでいてこんなにコワかったことはない。ウツがひどくなってしまった。

半分ほど読んだ時点で、オチの見当がついたのだけれど、作者がどう落とし込むのか気になって読み進んだ。最後まで読んで、ナルホド、うまくヒネりましたね、と納得。

最近、非英語圏ヨーロッパのミステリに注目作品が多い。「ミレニアム」しかり。しかしヨーロッパの作品はどことなくひやりとした印象がある。ところで、この作品は精神状態が不安定な人は避けた方がいいと思う。