2013-09-27

廃墟の乞う [佐々木譲著]


本格ハードボイルドミステリだ、と思った。

北海道が舞台。

ある事件の凄惨な現場に居合わせたことでPTSDとなった刑事が、療養中に非公式に依頼された事件を解いていく。事件の舞台は、ニセコ、夕張、オホーツクの漁港、石狩、日高、帯広、札幌、と北海道全土に跨がっている。町ごとに異なる人々の暮らしぶり、性質、風土。北海道という土地でなければ描けない物語。

アメリカのハードボイルド作品には、地方都市を舞台にした作品も多い。この作品も北海道という土地柄だからこそ、渋いハードボイルド作品に成り得たのだと思う。