2011-11-12

食べる音の恐怖 [GOOD FOOD]


Original Title: Misophonia: The Fear of Smacking and Slurping

人がものを食べる時にたてる音が気になるのは、一種の恐怖症である、という話。

オレゴン州のある音声学者は、これまで何百人という人たちをミソフォニア、音恐怖症と診断してきた。音恐怖症の人たちにとって、人がものを食べるときにたてる音、クチャクチャとかペロペロとかの音が耐えられないほどの不快感を与えている。食事中に黒板を爪で引っ掻く音を聞いているようなもの。

音恐怖症は先天的なものではなさそうで、ある日突然スイッチが入ってものすごく気になるようになる。彼らは情緒不安定で精神科的な問題を抱えているわけではない。きわめて普通に育ち、快活で運動も勉強もよくする子どもが、ある日音恐怖症になり、親が発する音がイヤになったりする。

原因は脳にあるのではないかと考えられている。人の耳にはさまざまな音が入って来るが、脳が聞きたい音だけを抽出して必要のない音は聞こえないようにしている。音恐怖症の人たちはこの抽出機能がうまくいってないために、ものを食べる音が聞こえてきてしまう、ということ。

実は私も人がものを食べる音がものすごく気になる。咀嚼する度に口を開けてクチャクチャと音をたてる人の方が下品だと思っていたが、その音が気になる人の方に問題がある、という結論に驚いた。呼吸するたびに音をたてる人も不快だし、口笛は大嫌い。それもこれもミソフォニアだからなのか。